
以前、お客様より、このようなご相談をいただきました。
現在契約しているIDC(Internet Data Center)から、サーバー設備の老朽化と事業の再編に伴い、サービス終了の緊急通知が届いた。
そのため、約2週間で現在のサーバー環境から、新しいサーバー環境へデータを移行する必要があり、そのサポートをお願いしたい。
これはつまり、「移行期限を過ぎると、既存のサーバー環境は強制停止・削除され、Webサイトや各種リソースに一切アクセスできなくなる」という深刻な状況でした。
目次
この緊急事態を受けて、弊社では以下の計画を立案し、サーバー移行作業を進めました。
通常、サーバー移行の前には、IDCが提供する、Webコンソールから以下の情報を把握します。
しかし、今回の旧サーバー環境は特殊で、Webコンソールにアクセスできない状況だったため、お客様(および先方の開発エンジニア)との徹底的なヒアリングを実施しました。
その結果、当該システムはPHPで開発された、WeChat 公式アカウントとオンライン決済機能を持つ、特定業界向けのUGCサイト(ユーザー投稿型サイト)であることが判明しました。
さらに詳細な調査により、当該のWebサイトおよびサーバー環境の、おおよその構成を把握しました。
| 項目 | 構成 | 内容 |
| サーバー環境 | OS | CentOS 7.9.2009 |
| CPU | 4core | |
| メモリ | 8GB | |
| システムディスク | 40GB | |
| データディスク | 200GB | |
| ネットワーク帯域幅 | 10Mbps(シングル回線) | |
| ソフトウェア環境 | Webサーバー | Nginx 1.24 |
| データベース | MySQL 5.7.44 | |
| プログラミング言語 | PHP 7.4 | |
| キャッシュ | Redis 6.2 | |
| ファイル転送 | FTP(vsftpd) | |
| 管理ツール | phpMyAdmin 5.1 | |
| WAF | ModSecurity | |
| SSL証明書 | あり | |
| コントロールパネル | 宝塔面板(Pagoda Panel) |
弊社のエンジニアで Xshell を使用し、SSH経由で旧サーバーへのログインを試みましたが、接続できませんでした。さらに、ローカルの cmd コマンド(TCP/IP)でもアクセスできない状態でした。
調査の結果、IDCのサーバールームで使用されている回線プロバイダーが撤退しており、China Mobile 回線のみが残っていることが判明しました。
最終的に弊社では、China Mobile 回線を利用した、一時的な「中継サーバー(Linux の踏み台サーバー)」を用意し、Xshell で中継サーバーに接続した後、ssh root@127.0.0.1 コマンドで、旧サーバーにログインする方法で接続を確立しました。
# ssh conntect old linux server
ssh root@192.168.1.2
# write old server 192.168.1.2 pwd
中継サーバー経由で旧サーバーに接続し、サーバーデータ、プログラムソースコード、データベースを圧縮・パッケージ化しました。
まず、システムディスクおよびデータディスクのディレクトリ構造・容量を確認し、移行対象の範囲とサイズを把握しました。
# ディスクを表示
[root@MyCloudServer ~]# df
# ディレクトリ一覧を表示
[root@MyCloudServer ~]# ls /path/to/directory
# CPU を確認する
[root@MyCloudServer ~]# ls lscpu
# すべてのデータベースをバックアップする
[root@MyCloudServer ~]# mysqldump -u[アカウント名] -p --all-databases | gzip > /path/to/backup_file.sql.gz
# 単一のデータベースをバックアップする
[root@MyCloudServer ~]# mysqldump -u[アカウント名] -p[パスワード] [データベース名] > /path/to/backup_file.sql
もう一つの課題は、旧サーバーには定期的なバックアップや監視を担う、専任担当者がいなかったことです。
また、お客様は Alibaba Cloud、AWS などのクラウドプラットフォームではなく、低価格なローカルIDCのサービスを利用していたため、セキュリティや運用コストが考慮されていませんでした。
その結果、サーバーのバックアップ機能が不足しており、Webサイトのプログラム容量は160GBあるにもかかわらず、利用可能なバックアップ容量は40GBしかありませんでした。
そこで弊社はバッチ処理方式で、優先度の高いデータから順に処理しました。
# 圧縮パッケージを転送する
[root@MyCloudServer ~]# scp /local/path/backup.tar.gz username@remote_host:/remote/path/
# 転送ディレクトリ
[root@MyCloudServer ~]# scp -r /local/directory/ user@remote_host:/remote/path/
IDCが提供する回線は、1本の China Mobile 回線のみだったため、大量データのダウンロード中に転送速度が低下したり、切断が発生することがありました。
そのため、弊社では以下の対策を取りました。
また、データ紛失を防ぐため、弊社では一時的に中継サーバー上にテスト環境を構築し、データの完全性を検証しました。特にデータベース転送では、回線切断によるデータ欠落や文字化けに注意しました。
それから、おおよそ3日間の作業を経て、旧サーバーから中継サーバーへの完全移行を実現。テスト環境でデータの完全性とWebサイトの正常動作を確認しました。
その後、本番公開用の新サーバー環境を設計・構築し、画像データの最適化(重複削除、圧縮、未使用画像の削除)を実施した上で、新サーバー環境へ移行し、本番公開することになりました。
これにより、お客様は喫緊のサービス終了という危機を、無事に乗り越えることができました。

今回のお客様が、元々利用していたIDCは、中国国内の小規模なローカルIDCでした。
本来、IDCの運営には、ラック賃料、電気代、回線費用、ハードウェアの調達、メンテナンス、人件費など、多額のコストが掛かります。
しかし現在は、Alibaba Cloud をはじめとするグローバルクラウドプラットフォームが、低価格でサービスを提供しているため、小規模なIDCでは価格競争で対抗できなくなっています。
その結果、今回の事例に登場する、競争に敗れたIDCは、急遽サービスを終了することになったようです。
新しいサーバーを契約・利用する際は、信頼性の高いIDCや、グローバルクラウドプラットフォームを選択することを推奨します。
特に、オンライン決済やデータのセキュリティが求められるプロジェクトでは、以下のような、グローバルクラウドプラットフォームが適しています。
これらは、世界中に分散されたIDCにより、安定したアクセス、ネットワークの冗長化、データの安全性が保証されています。
企業のデジタル化や海外展開、越境貿易といった需要に対しては、グローバルに対応できるクラウドプラットフォームが有利と言えます。
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