WeChat(微信)は12億のユーザーを抱える国民的アプリとして、私たちの生活の隅々にまで浸透しています。その「兄弟アプリ」とも言える WeChat Work(企業微信) は、私たちの働き方を静かに変えつつあります。
現代のビジネスパーソンにとって、この2つのアプリの違いを理解することは非常に重要です。
本記事では、WeChat(微信)と WeChat Work(企業微信)の決定的な違いを3点に絞って解説します。
目次
WeChat(微信)は 2011年に「人と人をつなぐ」ことを目的に誕生しました。個人向けSNSツールとしての位置付けで、中核機能はすべてソーシャル機能に集約されています。
友人や家族との日常的な連絡、Moments(モーメンツ)での近況共有、WeChat Pay(微信支付)による決済など、日常生活での利用に適しています。
一方、WeChat Work(企業微信)は2016年に「企業と従業員、企業と顧客をつなぐ」ためにリリースされました。企業が従業員や業務を管理するためのツールです。機能はすべてビジネスシーン向けに設計されています。例えば、スケジュール管理、会議室予約、会議の招集、社内アドレス帳での検索、休暇申請、経費精算の承認ワークフロー、退職者の顧客引継ぎなど、多岐にわたります。その機能性は、Google Workspace と Chatwork を組み合わせたようなイメージを気がします。
WeChat(微信)を仕事で使う人も多いですが、ビジネスの場面になると、WeChat と企業向けのWeChat Workの違いがはっきりと現れます。
いくつかの場面を通じて、両者の違いを見ていきましょう。
WeChat(微信)の場合:新しく社内に入ったメンバーにメッセージなどを送る時、まずはメンバーを一人ずつ手作業で WeChat(微信)に追加し、友達にならないとなりません。
※ しかし、このやり方は、メンバーの追加漏れが発生しやすいです。
WeChat Work(企業微信)の場合:メンバーを手動で追加する必要はありません。WeChat Work の検索ボックスで名前を検索するか、社内アドレス帳で部署ごとに検索すれば、すぐに見つかります。
WeChat(微信)の場合:グループチャットの最大人数は500人です。
WeChat Work(企業微信)の場合:社内グループチャットは最大2,000人まで対応可能です。
従業員数が千人規模の大企業では、業務に WeChat Work の導入が必須と言えるでしょう。
WeChat(微信)の場合:従業員が個人の WeChat で顧客を追加すると、企業は顧客情報を把握できません。もし従業員が退職する際、顧客情報を持ち出すリスクがあります。
WeChat Work(企業微信)の場合:企業は従業員が追加した全顧客情報を一元管理でき、管理画面から顧客を一括管理可能です。従業員の退職時にも、顧客資産をシームレスに引き継げます。
WeChat(微信)の場合:日常の連絡自体は WeChat でも可能ですが、勤怠管理(打刻)、休暇申請、経費精算の承認などが必要な場合、別のツールを使用せざるを得ず、すべてを WeChat 上で完結させることはできません。
WeChat Work(企業微信)の場合:勤怠管理、休暇申請、各種承認ワークフローなどのOA機能が標準搭載されています。基本的な業務ニーズのほとんどは WeChat Work 上で対応可能です。
データセキュリティ管理において、両者の違いは特に顕著です。
WeChat(微信)の場合:エンドツーエンド暗号化(E2EE)技術を採用し、ユーザーのプライバシーを第三者からの窃取や傍読から保護しています。すべてのチャット記録と個人データは完全にユーザー自身が管理し、Moments(モーメンツ)の公開範囲も自由に設定可能。個人の社交におけるプライバシーが徹底的に守られています。
WeChat Work(企業微信)の場合:
🔹【ファイル管理】
・ファイルのダウンロード及び外部転送記録の確認、ダウンロード禁止/外部共有制限などの設定が可能です。
🔹【情報漏洩防止】
・チャット内容やアドレス帳に透かし(ウォーターマーク)を設定できます。ページ背景に社員名と携帯番号下 4 桁を表示し、情報漏洩時の追跡を可能にします。
・スクリーンショット及び画面録画の禁止(Android:スクショ/録画双方禁止、iOS:録画のみ禁止)。
・スクリーンショット操作の記録(iOS のみ対応)。
🔹【チャット記録の保存】(有料)
・従業員に告知の上、業務関連のチャット記録を保存・確認できます。
※ 企業が閲覧できるのは業務関連の記録のみです。私的な会話は「個人情報保護法」により保護されます(公私混同は避けることを推奨します)。
🔹【顧客資産の継承】
・退職社員が担当していた顧客資産を引き継ぎ、顧客の流失を防止可能です。
デジタル時代において、WeChat(微信)と WeChat Work(企業微信)を使い分けることで、作業効率の向上と個人プライバシーの保護を図ることができます。
■ WeChat(微信):
私的な交流や日常の共有、親しい友人・家族との連絡など、仕事以外の場面でご利用ください。自由に Moments を投稿したり、趣味のグループチャットに参加したり、ソーシャルライフをお楽しみいただけます。
■ WeChat Work(企業微信):
業務連絡、顧客対応、承認フローなど、仕事に関する事務処理に專門的にお使いください。アカウントの専門性を保ち、プライベートな内容の混在を避けることができます。
デジタル変革の潮流において、WeChat Work(企業微信)はビジネスパーソンの必須ツールとなりつつあります。WeChat(微信)と WeChat Work(企業微信)の違いを理解することは、単に社内規定を守るためではなく、個人の作業効率向上とプライバシー保護の鍵となります。
「生活は WeChat、仕事は WeChat Work」というシンプルな原則を実践すれば、WeChat エコシステムの利便性を享受しつつ、仕事と生活の健全なバランスを保つことができます。
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