Webサイトの問い合わせフォームやログイン画面には、スパム対策として「Google reCAPTCHA」を組み込んでいるケースが多くあります。
しかし、中国からそのサイトへアクセスした際に、ページ表示が極端に遅くなる場合、その原因のひとつが Google reCAPTCHA です。
目次
中国が定めるインターネットの安全管理の一つとして、Google関連のサービスは基本的に制限が掛けられており、中国国内のネットワークから直接アクセスできません。( Google reCAPTCHA もそのアクセス制限対象の一つです)
Google reCAPTCHA の仕様として、フォームの送信前にGoogleサーバーと通信し、JavaScript や画像、検証用のリソースを取得します。この通信が中国からは極端に遅延、またはタイムアウトとなり、ページ全体の読み込み速度に悪影響を与えます。そのため「サイトが全く開かない」「画像だけ表示されない」「スタイルが崩れて表示される」などの問題が起こります。
※ 日本国内のサイトも、Google reCAPTCHA を使用していることが多いですが、中国から日本サイトへアクセスした場合に表示が遅いのも、これが原因の一つとなっています。
下記のような問題がある場合、サイトの表示速度の遅さが顕著になります。
〇 サイトの <head> 内で、reCAPTCHA のスクリプトを読み込んでいる
〇 読み込んだスクリプトを実行する際、他ページのHTMLのレンダリングなどをブロックしている(非同期設定の処理がされていない)
〇 認証結果を取得するまで、ページ描画されない構造になっている
サイト表示が遅い場合、結果としてコンバージョン(CV)にも大きな影響を及ぼします。
〇 ページが白い画面のまま、長時間表示される
〇 問い合わせフォームが使えない、または送信エラーになる
〇 ログインや会員登録ができず、サイトの離脱率が増加する
中国向けまたは中国ユーザー向けに、安定的なサイト運用を目指す場合、Google reCAPTCHA の代替案として以下の方法があります。
〇 阿里云 验证码
https://www.aliyun.com/product/security/captcha
〇 Alibaba Cloud CAPTCHA
https://www.alibabacloud.com/en/product/captcha
阿里云 及び Alibaba Cloud が提供するオンライン認証サービスで、不正アクセスやスパム送信を防止するための人間判定(Bot対策)をおこなう仕組みです。
Google reCAPTCHA と同様の機能を持ちながら、中国国内のサーバー上で動作するため、中国本土からのアクセスでも高速かつ安定した表示が可能です。
※ なお、無料プランはなく、トラフィック量や利用回数に応じた従量課金またはパッケージ料金です。コストは月間アクセス数・認証回数に比例して増加するため、導入前に試算することを推奨します。
〇 WP Advanced Math Captcha(Wordpress プラグイン)
https://wordpress.org/plugins/wp-advanced-math-captcha
Google reCAPTCHA やその他有料の CAPTCHA サービスを避けたい場合で、かつ WordPress で構築されたサイトであれば、無料で導入できるプラグインの一つ「WP Advanced Math Captcha」があります。
WordPress 限定ですが、無料でシンプルにスパム対策を導入したい場合は、手軽で効果的な選択肢といえます。特に中国市場向けのサイトや、Google サービスが使いづらい環境では、このプラグインが活躍します。ただし、セキュリティレベルは必要最低限のため、大規模サイトや重要な取引を伴うページでは、他のセキュリティ(IPS/IDS や WAF など)と併用するのがお勧めです。
〇 シンプルな数式認証(例:「3 + 5 = ? 」のような、簡単な足し算・引き算問題を表示)
〇 軽量でサーバー負荷が少ないため、表示速度への影響がほぼない
〇 プラグインをインストールし、対象フォームにチェックを入れるだけで利用可能(多少の HTML/CSS の調整が必要)
〇 Cloudflare Turnstile(Wordpress プラグインとの併用も可)
https://www.cloudflare.com/application-services/products/turnstile
中国向けサイトに Cloudflare Turnstile を設置しても、サイト表示や速度にそこまで問題なさそうです。
しかし、WeChat経由のブラウザで問い合わせフォームのURLリンクを開いた際に、WeChat側(及び Tencent側)のセキュリティ制限(Referer や Cookie 等の制御)が影響し、認証エラーとなって先に進めない場合があります。
これは WeChat内のブラウザが、外部サイトのスクリプトやリクエストを制限する挙動(Referer 制御 や Cookie 制限、Content Security Policy など)が、複合的に影響している可能性が高いです。
※ 弊社としては、中国向けサイトに Cloudflare Turnstile を設置する方法は推奨できません。
中国向けまたは中国ユーザー向けのWebサイトでは、Google reCAPTCHA はページ表示遅延の大きな原因となります。
中国市場を意識したサイト構築では、中国のネットワーク環境に最適化されたフォーム認証方式の導入が必須です。単純に日本向けサイトのサイトデザインや機能を移植してくるのではなく、「中国向けのチューニング」 をおこなうことで、サイト集客や商談機会の損失を防ぐ第一歩です。
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