
Webサイトやサーバーなどのシステムを初期導入したあとは、その後の「運用」と「保守」の対応が必要となってきます。
しかし、業務上の会話や契約内容では、「運用保守」として一括りに扱われる場合もありますが、厳密には「運用」と「保守」の作業範囲や役割は異なります。
今回は「システムの運用と保守の違い」について、整理して解説いたします。
WordPress で制作されたホームページや、そのホームページが稼働するサーバーの管理において、システムの「運用」と「保守」の違いを理解することは重要です。
| 項目 | システム運用 | システム保守 |
| 目的 | システムを改善、最適化する | システムを安定、安全に維持する |
| 主な作業 | パフォーマンスの改善 運用フローの改善 ユーザービリティの向上 |
不具合の修正 セキュリティの対応 定期的なバックアップ |
| 成果 | 効率化、利便性向上 | 安定稼働、トラブル防止 |
| 頻度 | 定期的または改善に応じて対応 | 日常的および障害時に対応 |
システム運用は、システムを単純に稼働させるだけでなく、そのシステムをより良い状態に向上させていくための作業です。
日々のシステムの稼働状況を確認しながら問題を洗い出し、より効果的なシステムに改善していくのが運用の役割です。
システム保守は、システムを安定した状態で維持していくための作業です。
システムのトラブル・停止などの、不測の事態を未然に防ぎ、システムの安定稼働を目指すのが保守の役割です。

顧客向けに「システムの運用と保守の契約」を提供するITサービス事業者では、この「運用」と「保守」を一括で提供されることがあります。
しかし、実際には作業や役割が異なるため「どこまでが運用で、どこまでが保守なのか」を明確にしておくことが大切です。
例えば、契約範囲が曖昧の場合、作業内容や費用について誤解が生じやすく、トラブルの原因になることがあります。
顧客とITサービス事業者の間で、事前に契約内容を整理しておくことで、作業範囲や費用の誤解を防げます。
| 項目 | 概要 |
| システム運用に含まれる作業例 | ・ホームページやシステムの定期的なデータ更新 ・アクセスログや利用状況の分析による改善提案 ・ユーザーからの問い合わせを元にした、運用フローの最適化 ・ユーザービリティや機能面での改善提案、導入支援 |
| システム保守に含まれる作業例 | ・システムやソフトウェアの脆弱性修正(例:WordPress であれば、コアファイルやテーマファイル・プラグイン) ・OSやミドルウェア、ライブラリのパッチ適用 ・システム障害発生時の調査、復旧対応 ・定期バックアップの実施や復元確認 |

システムの「運用」と「保守」、どちらの作業や役割も、Webサイトやサーバーを安心・安全に使い続けるために欠かせない要素です。
しかし、目的や範囲が違う作業を一括りにしてしまうと、契約上の齟齬や期待値のズレが生じてしまいます。
システムの契約前に、作業範囲や役割・費用の仕組みを整理し、システムの長期的な安定稼働を目指しましょう。
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