アリババグループが提供するクラウドサービス(クラウドサーバー)で、中国国内では「阿里云(Aliyun)」というブランド名で展開されていますが、中国国外向けには「Alibaba Cloud」という名称が使われています。
両者は同じアリババグループのクラウドですが、利用できるコンソールやアカウント認証の仕組み、顧客へ提供されるサービスや規制対応に違いがあります。
※ 2025年9月時点の情報です。
目次
同じアリババグループのクラウドでありながら、アカウントの仕組みや規制準拠が異なるため、別々のクラウドサービスのように扱われています。
なお、阿里云のクラウドサービスは、中国の身分証や営業許可証が無いと利用することが出来ないため、中国国内の身分証または法人登記がある顧客だけが利用できるサービスとなっています。
項目 | 阿里云(中国版) | Alibaba Cloud(国際版) |
ブランド名 | 阿里云(Aliyun) | Alibaba Cloud |
主な利用対象 | 中国国内の個人、法人 | 中国国外の個人、法人 |
アカウント開設の条件 | 中国の身分証、営業許可証の提出 | 個人または企業の情報、クレジットカード情報 |
アカウントの認証方式 | 実名認証(中国のIDが前提) | 個人または企業の情報で認証 |
提供サービス | 中国国内向けに特化(ICPライセンス関連サービスなど) | グローバル共通のクラウドサービス |
中国リージョンの利用 | 標準で利用可能 | 条件付きで利用可能(中国の連絡先などを要求される場合あり) |
規制対応 | ICPライセンスの登録、公安局への届け出が必須(インターネット上への公開時) | ICPライセンスの登録は不可(中国国外の海外法人のみの場合) |
サポート窓口 | 中国国内向け(中国語が中心) | グローバルでのサポート(英語が中心) |
海外法人の顧客が、中国リージョンを利用したい場合、「Alibaba Cloud(国際版)」のアカウントを利用する方法があります。
下記の手順に沿ってアカウントを作成すれば、中国リージョンが利用可能となります。
< https://www.alibabacloud.com > のサイトから、Alibaba Cloud のアカウントを作成します。
※ 今回の例では、企業アカウント(ビジネスアカウント)の作成を紹介します。
アカウントのメールアドレス認証をおこないます。登録したメールアドレスに、認証用のメールが届きます。
事前に支払い用のクレジットカード登録をおこないます。
アカウントを作成するにあたり、今後にサービスを利用するか否かに関わらず、クレジットカードの登録が必須です。
これで Alibaba Cloud を利用する準備は完了です。
ここでは、サーバー(バーチャルマシン)の「ECS(Elastic Compute Service)」を選択してみます。
この時点では、中国のリージョンやインスタンスモデルの選択自体は可能です。
その後「注文」に進もうとすると、下記のようなメッセージが表示されます。
つまり、中国リージョンを利用するためには、海外法人であっても「企業認証(実名認証)」が必要ということです。
※ なお、中国リージョン以外の選択であれば、実名認証が求められることはありません。
アカウント管理の画面から、企業認証の操作に進んでいきます。
この画面で求められることは、日本企業であれば「会社登記簿のアップロード」「会社法人番号の登録」が必須です。
その後、Alibaba Cloud のサポート側で審査がおこなわれます。通常 2,3日 程度で、メールで審査結果が届きます。
※ ちなみに企業認証は、「クラウドアカウント(マスターアカウント)単位」で有効になるため、一度認証が完了すれば、その後に追加で別の中国リージョンを選択利用しても、追加の認証は不要 です。
Alibaba Cloud での審査状況により下記のようなケースもあり、また、具体的な審査基準についても非公開となっているため注意が必要です。
※ なお、実名認証に関するFAQは、下記にも公開されています。
〇 Alibaba Cloud の公式 FAQ
https://www.alibabacloud.com/help/ja/account/account-verification-faqs
海外法人が Alibaba Cloud(国際版)を用いて、中国リージョンで提供されている、ECS などのインスタンス立ち上げて、社内システムの用途で利用するだけなら問題ありません。
しかし、インターネット上で公開するWebサイトなど(http / https で接続するもの)の用途で、中国リージョンを運用する場合には「ICPライセンス」の申請・登録が必須です。
このICPライセンスは、中国法人登記がある企業のみが取得できるため、海外法人は単独で取得できません。
※ 中国電話番号・中国責任者(法定代表人)・中国の営業許可証の情報を準備し、公安局への届け出する必要があります。
もし、中国市場向けにクラウドサービスを利用する際は、下記の点を考慮して計画を立案するとスムーズです。
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