
「クラウド」と聞くと、ITサービスや技術を思い浮かべます。その一方で「不動産」は、古くから存在する物理的な資産ビジネスです。
この二つの業界は、一見すると全く無関係に思えますが、ビジネスの構造や考え方がとても似ています。
厳密に比較すると「クラウド事業者」と「不動産会社(特にオーナー型・自社物件保有型)」が近い関係にあります。
これは、運営企業における「固定費」の構造が、両者の中核的な特徴となっています。
| 項目 | クラウド事業者 | 不動産会社(オーナー型・自社物件保有型)」 |
| 中核となる資産 | データセンター、サーバー群 | マンション、オフィスビル、商業施設 |
| ビジネスモデル | 自社資産(ITインフラ)の容量・機能を、従量課金やサブスクリプションの「利用量」で販売 | 自社資産(空間)を期間単位で賃貸 |
| 主な収入源 | サービス利用料(クラウドサーバー、ソフトウェア、SaaSなど) | 家賃、管理費、共益費 |
| 固定費 | データセンター建設・維持、サーバー購入・更新、電気代 | 土地・建物取得費、固定資産税、建物維持管理費 |
| 変動費 | 比較的小さい(顧客サポート、ネットワーク増強など) | 比較的小さい(空室時の清掃、リフォームなど) |
| 最大の経営課題 | データセンターの稼働率(Utilization Rate)向上 | 物件の入居率(Occupancy Rate)向上 |
| 余り(空き)の損失 | 余っている(空いている)サーバーリソースは「確実な損失」 | 余っている(空いている)部屋・フロアは「確実な損失」 |
| 価格戦略 | リザーブド、スポットインスタンスなど柔軟な価格設定 | フリーレント、家賃値下げ、入居促進キャンペーン |
クラウド事業者がデータセンターを建設するには、土地の取得や建物の建設、発電設備、冷却システム、数百から数万台のサーバーマシンなど、数百億円規模の投資が必要です。
これは不動産開発も同じで、土地の取得や建物の建設、内装工事、共用部分の整備など、全てがサービス提供前に必要となる巨大な先行投資(固定資産)です。
両者に共通するのは「まず巨大な資産を作り、それから長い時間をかけて回収する」というビジネス構造が、両者に共通しています。
クラウド事業者の最大の関心は「データセンターの稼働率」です。
クラウド事業者がハイスペックなサーバー・ネットワーク環境を導入しても、それらが遊んでいる期間はすべて「損失」となります。
AWS や Google・Alibaba などが、複雑な価格設定(リザーブドインスタンス、スポットインスタンスなど)をしているのは、この「空き容量」を少しでも埋めるためです。
同じく不動産会社でも「入居率」は死活問題です。空き部屋がある期間も、固定資産税やローン返済、維持管理費などは発生するため、初回特典や家賃調整などで入居率を維持する営業努力をおこないます。
それに加えて、クラウド事業者と不動産会社も、稼働率(入居率)が低い期間であっても、サポートやメンテナンスを担う従業員の人件費も発生します。
つまり「資産をいかに埋めるか」が、両者の共通の課題です。
クラウド事業者は、最初に莫大な投資をして巨大なデータセンターを建設し、「この資産を数十年にわたって活用し、投資を回収しなければならない」という長期戦略を前提としています。
長期で資産を運用するからこそ、更なるコスト優位性を生み出すという好循環が生まれます。
不動産事業も同じ論理で、大規模なマンションや商業ビルを開発するのは、単に収容力を増やすためだけでなく、数十年という資産寿命を見据えた上で、長期の収益性を高めるためです。
長期にわたるメンテナンス計画も、規模が大きければ部材の一括調達が可能になり、単価を圧縮できます。
巨額の先行投資、固定費の重圧、稼働率(入居率)の向上、長期にわたる資産運用という点で、クラウド事業者と不動産会社も、同じビジネス原理で動いています。
このような視点で比較すると、無関係に思える業界でも、新しい発見や理解が広がる思います。
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