
グローバルなクラウドサービスを展開する AWS(Amazon Web Services)ですが、中国市場においては、独特のサービス仕様・機能として提供されています。
中国で AWS を利用する際に、国際版との違いを理解しておく必要があります。
本記事では、AWS 国際版と中国版との、主な違いをご紹介いたします。
※ 2026年1月時点の情報です
AWS の国際版と中国版は、同じ AWS の名称を冠していながら、アカウント開設条件やサービス基盤などが異なるため、別々のクラウドサービスとして扱われています。
AWS 中国版(亚马逊云科技)は、AWS 国際版とはサービス運営会社も違い、中国法人が無いとアカウント開設できないなど、中国国内の身分証または法人登記がある顧客だけが利用できるサービスとなっています。
また、AWS 国際版のアカウントでは、中国リージョンは利用できず、別途、中国版 AWS アカウントの作成が必要です。国際版と中国版とではサービス基盤自体が異なるため、アカウント間の連動もありません。
| 項目 | AWS(中国版) | AWS(国際版) |
| ブランド名 | 亚马逊云科技 https://www.amazonaws.cn |
AWS(Amazon Web Services) https://aws.amazon.com |
| 主な利用対象 | 中国国内の個人、法人 | 中国国外の個人、法人 |
| アカウント開設の条件 | 中国の身分証、営業許可証の提出 | 個人または企業の情報、クレジットカード情報 |
| アカウントの認証方式 | 実名認証(中国のIDが前提) | 個人または企業の情報で認証(メールアドレス、電話番号など) |
| サービス運営の主体 | 中国現地のパートナー企業が運営
・北京リージョン: 光环新网(Sinnet) |
Amazon Web Services, Inc. が運営 |
| 中国リージョンの利用 | 標準で利用可能 | 利用不可 |
| 提供サービス | 中国国内向けに特化
※ 一部のグローバルサービスは利用不可 |
グローバル共通のクラウドサービス |
| システムの独立性 | 国際版から完全に分離・独立 | グローバルに統合されたサービス |
| 規制対応 | 中国の規制へ対応 | グローバル標準と地域別規制へ対応 |
| サポート窓口 | 中国国内向け(中国語が中心) | グローバルでのサポート(英語が中心) |
AWS 中国版では、中国の規制対応や技術制約により、AWS 国際版で提供されている全てのサービスが利用できるわけではありません。また、利用可能なサービスであっても、一部のサービスには機能制限が設けられています。
以下は、AWS 中国版の主要サービスと制限事項について、一部のサービスを抜粋してご紹介いたします。
| サービス | AWS 中国版での状況 | 備考 |
| Amazon EC2 | 〇 利用可能 | インスタンスタイプの種類に制限あり |
| Amazon S3 | 〇 利用可能 | ストレージクラスに一部制限 |
| Amazon EBS | 〇 利用可能 | ボリュームタイプに制限あり |
| Amazon VPC | 〇 利用可能 | 完全に機能をサポート |
| Auto Scaling | 〇 利用可能 | 基本的な機能は利用可能 |
| Elastic Load Balancing | 〇 利用可能 | ALB / NLB / CLB 全てに対応 |
| Amazon RDS | 〇 利用可能 | MySQL / PostgreSQL / SQL Server などの主要エンジンに対応 |
| Amazon Aurora | 〇 利用可能 | MySQL / PostgreSQL 互換エディション |
| Amazon ElastiCache | 〇 利用可能 | Redis / Memcached 対応 |
| Amazon DynamoDB | 〇 利用可能 | NoSQL データベース |
| Amazon SNS / SQS | 〇 利用可能 | 基本的な機能は利用可能 |
| Amazon CloudWatch | 〇 利用可能 | 基本的な機能は利用可能 |
| AWS WAF | 〇 利用可能 | 基本的な機能は利用可能 |
| AWS VPN | 〇 利用可能 | 中国国内の接続に限定 |
| AWS Direct Connect | 〇 利用可能 | 中国国内の通信キャリア経由 |
| Amazon Route 53 | △ 中国国内のみの名前解決 | ・グローバルDNSとしての機能は制限 ・中国国外への名前解決は、中国専用のネームサーバーを経由 |
| Amazon CloudFront | △ 中国固有の CDN と連携 | 「Amazon CloudFront with China Network」として、中国国内のキャッシュPOPと連携した形で提供 |
| AWS WAF | △ 機能制限あり | ・国際的なマネージドルールが制限 ・特定のボット対策機能が不可 |
| AWS Certificate Manager(ACM) | △ 機能制限あり | 証明書発行のプロセスに制限あり(中国国内の認証局) |
| AWS Lambda | △ 機能制限あり | ・実行環境、メモリ設定に制限あり ・一部のランタイムに未対応 |
| Amazon ECS / EKS | △ 機能制限あり | 最新バージョンの反映は遅延する場合あり |
| AWS Fargate | △ 機能制限あり | 最新バージョンの反映は遅延する場合あり |
| AWS IAM Identity Center | △ 機能制限あり | 国際版アカウントとの連携は不可 |
| AWS Organizations | △ 機能制限あり | 国際版アカウントとの統合管理は不可 |
リージョン(北京と寧夏)によって、サービスの提供状況や対応機能に、一部の差異が生じる場合があります。
中国市場向けに AWS を利用する際は、下記の点を考慮して計画を立案しましょう。
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