中国の三大通信キャリアといえば、チャイナモバイル(中国移動)、チャイナテレコム(中国電信)、チャイナユニコム(中国聯通)です。
外国人が中国で生活・仕事を始めるときに、まず必要になるのがスマートフォンのモバイルのSIMカードですが、「どの通信キャリアを選ぶべきか?」という問題があります。
しかし、その通信キャリアごとに、そのサービス内容や使用感に違いがあるため、日本のように「どこの通信キャリアでも大差ない」という状況とは少し異なります。特に、日本人が日本で購入したスマートフォン(日本で販売されているスマートフォン)を、中国でも使用する場合には、いくつか注意すべきポイントがあります。
本記事では、「中国の通信技術・周波数帯(バンド)」と「日本のスマートフォンの周波数帯」との関連を踏まえながら、やや技術的な観点から「なぜ、在中国の外国人・外資系企業にとって、チャイナユニコムが適しているか」をご紹介します。
目次
中国の通信ネットワークの技術は、技術的に異なる「二つの方式」を基盤として発展してきました。まずはこの違いを整理していきます。
主に、チャイナモバイルが採用している通信技術です。(時分割双信方式とも言われます)
この方式は、「送信(アップロード)と受信(ダウンロード)を時間で区切って、同じ周波数帯を使用する技術特性」を持っています。中国が国家戦略として推進してきた経緯があり、国内では最も広大なネットワークインフラを構築しています。特に地方や郊外におけるエリアの広さと安定性は随一です。
ただし、この方式は日本や欧米ではあまり普及しておらず、これらの地域向けに製造・販売されるスマートフォンは、ハードウェアとしてこの方式に対応していない機種が大半です。これが、日本から端末を持ち込むユーザーが、チャイナモバイルのSIMを利用した際に、通信が不安定となる最大の技術的要因です。
主に、チャイナテレコム・チャイナユニコムが採用している通信技術です。(周波数分割双信方式とも言われます)
この方式は、「送信と受信に異なる周波数帯を使用する技術特性」を持っています。日本、欧米、アジアの多くの国々で主流の「グローバルスタンダード」方式であり、国際的な互換性が非常に高いことが特徴です。
日本や欧米で販売されるスマートフォンは、この方式に対応することを前提に設計されているため、端末との互換性という面では優位性があります。中国国内では、チャイナモバイルと比較すると、特に地方や郊外のエリア強度で劣る場合がありますが、都市部ではほとんど差を感じることはありません。
中国で外国人がスマートフォンでモバイル通信する際、重要なのは「通信規格と周波数帯(バンド)の互換性」を確認しておくことです。
特に、中国と日本では主流の通信方式が異なるため、よく下調べしておかないと、中国でスマートフォンが「圏外」で接続できないという事態になる可能性があります。
– | チャイナモバイル (中国移動) |
チャイナテレコム (中国電信) |
チャイナユニコム (中国聯通) |
特徴 | |||
通信エリア | ◎ (地方・郊外に強い) |
◎ (地方・郊外も比較的安定) |
◎ (都市部・国際ローミングに強い) |
オススメのユーザー層 | ・中国国内のスマートフォン端末のユーザー ・地方、郊外の在住者 |
・中国国内のスマートフォンの端末ユーザー ・料金を重視するユーザー |
・日本や欧米のスマートフォン端末のユーザー ・中国に滞在する外国人のユーザー |
通信規格(4G / LTE) | |||
主要方式 | TD-LTE(中国主力) | FDD-LTE(国際標準) | FDD-LTE(国際標準) |
主要周波数帯(4G / LTE) | |||
Band 34(2000MHz) | 〇 | △ | △ |
Band 39(1900MHz) | 〇 | △ | △ |
Band 40(2300MHz) | 〇 | △ | △ |
Band 41(2500MHz) | 〇 | 〇 | 〇 |
Band 1(2100MHz) | △ | 〇 | 〇 |
Band 3(1800MHz) | △ | 〇 | 〇 |
Band 5(850MHz) | △ | 〇 | 〇 |
Band 8(900MHz) | △ | 〇 | 〇 |
通信規格(5G) | |||
主要方式 | 5G NR TDD | 5G NR(FDD / TDD) | 5G NR(FDD / TDD) |
主要周波数帯(5G) | |||
n41(2500MHz) | 〇 | 〇 | 〇 |
n78(3500MHz) | 〇 | 〇 | 〇 |
n79(4700MHz) | 〇 | △ | △ |
n1(2100MHz) | △ | 〇 | 〇 |
n28(700MHz) | △ | 〇 | 〇 |
※ 5G でのネットワーク接続の大部分は、まず 4G でのネットワークで認証を受ける「NSA(Non-Stand Alone)方式」です。
つまり、4G の TD-LTEの周波数帯(band 39 / 40 など)に対応していないスマートフォン端末は、それがたとえ 5G の周波数帯(n41 / 78 など)に対応していたとしても、チャイナモバイルのネットワークには一切接続できません。
先ほど、中国三大通信キャリアの通信規格・周波数帯を紹介しましたが、ここで「日本で購入したスマートフォン(日本で販売されているスマートフォン)の周波数帯」が関わってきます。
例えば、日本国内で購入したスマートフォンで、海外へ旅行や出張へ渡航した場合、「そのスマートフォン端末自体が対応している周波数帯」が影響し、「ほとんど回線に繋がらない」「インターネット速度が異様に遅い」というような現象が起こる場合があります。これは、日本国内向けに流通しているスマートフォン端末は、「日本国内の周波数帯に最適化」かつ「通信キャリアが販売するごと端末に周波数帯が違う」ということが影響しています。
近年の iPhone であれば、元々がグローバルの通信規格・周波数帯の仕様に対応したスマートフォンが大半なので、このような現象は少ないですが、「日本国内の通信キャリアで購入した Android のスマートフォン(日本の通信キャリア版のスマートフォン)」は、端末の周波数帯にバラツキがあります。
– | チャイナモバイル (中国移動) |
チャイナテレコム (中国電信) |
チャイナユニコム (中国聯通) |
特徴 | |||
日本のスマートフォン端末の互換性 | △ (非対応機種が多数) |
〇 (対応可だが一部未対応) |
◎ (対応機種が多数) |
主要周波数帯(4G / LTE) | |||
iPhone(iOS)
Band 1, 2, 3, 5, 7, 8, 12, 13, 18, 19, 20, 26, 28, 32, 39, 40, 41, 42 |
〇 | ◎ | ◎ |
docomo(Android)
Band 1, 3, 19, 21, 28, 18, 26 |
△ | 〇 | ◎ |
au(Android)
Band 1, 3, 18, 26, 28, 41, 42 |
△ | 〇 | ◎ |
Softbank(Android)
Band 1, 3, 8, 28, 11, 42 |
△ (一部対応) |
〇 | ◎ |
楽天モバイル(Android)
Band 3, 18, 26, 28, 42 |
× | 〇 | ◎ |
主要周波数帯(5G) | |||
iPhone(iOS)
n1, 2, 3, 5, 7, 8, 12, 20, 25, 26, 28, 30, 38, 40, 41, 48, 66, 71, 77, 78, 79 |
〇 | ◎ | ◎ |
docomo(Android)
n77, 78, 79, 3, 28, 257 |
△ | 〇 | ◎ |
au(Android)
n77, 78, 79, 28, 257 |
△ | 〇 | ◎ |
Softbank(Android)
n77, 78, 79, 28, 257 |
△ (一部対応) |
〇 | ◎ |
楽天モバイル(Android)
n77, 78, 28 |
× | 〇 | ◎ |
※ 日本の通信キャリアは、世界的にみても「やや特殊」な周波数帯を利用しており、docomo・au・Softbank が重視している Band 19(800MHz) は、中国や欧米でもほとんど使用されていません。
つまり、日本の通信キャリアモデルのスマートフォン端末は、海外の回線の周波数帯には非対応のものが多いので、中国や海外でスマートフォンを利用する際には要注意です。
日本でも iPhone のスマートフォンを使用しているユーザーは多く、在中国の駐在員や長期滞在する方も、iPhone ユーザーが多い印象があります。
とはいえ、中には Android ユーザーも居たり、中国への旅行や出張などの短期滞在者であったり、様々な方々が居るはずです。
しかし「チャイナユニコム」であれば、国際標準の通信規格・周波数帯に幅広く対応していることから、在中国の外国人であっても「チャイナユニコム」をオススメできる理由となっています。
チャイナユニコムは「FDD-LTE(4G)」の通信規格を採用しているため、国際的に広く使われている規格とほぼ同じです。そのため、iPhone をはじめとするグローバル端末であれば、互換性が高く安全に利用できます。
中国の都市部に駐在して、生活・仕事している外国人も多いはずなので、都市部での通信品質であれば、特に問題は無いでしょう。
また、国際的も連携が強く、日本や中国香港・その他海外とのローミング接続も比較的にスムーズなため、海外からの出張者にも安心です。
iPhone はグローバル共通モデルに近く、中国キャリアのバンドにも幅広く対応しています。そのため、チャイナユニコムのSIMカードを挿せば、大きな問題もほぼなく、通話・データ通信が利用できます。
そして Android であっても、チャイナユニコムは FDD-LTE の Band 1, 3 などの、国際的に標準化された周波数帯を採用しているため、日本の Android のスマートフォンでも回線に接続できる可能性が高いです。
また、料金プランもシンプルで分かりやすく、法人契約にも柔軟に対応しています。特に都市部での利用を中心とするなら、最もバランスの良い選択肢だと言えます。
近年では、日本や欧米でも、eSIM プラットフォーム事業者が提供する、「海外旅行 eSIM」の利用が普及してきています。
しかし、その eSIM を購入した日本ユーザーの口コミで多いのが、下記のようなものがあります。
その eSIM に対応したスマートフォン端末の対応機種であり、また 端末側の APN(Access Point Name)やローミングの設定も問題ないにも関わらず、このような海外現地でのトラブルも少なくありません。
eSIM プラットフォーム事業者は、基本的に「海外現地の通信キャリアから、ローミング回線を仕入れて提供するディーラー(販売代理店)」という立場にあります。
しかし、eSIM プラットフォーム事業者のサポート対応範囲は、「海外旅行 eSIM の利用が可能な、スマートフォンの対応機種リスト」の案内までが多く、「海外現地の通信キャリアのローミング回線」と「スマートフォンの周波数帯」との互換性については、考慮されていないのが大半です。
eSIM プラットフォーム事業者の「SLA(Service Level Agreement)」についても、「ご利用の端末仕様を、よくご確認のうえでご利用ください」と、あくまでユーザー側の「自己責任」という側面が強いのです。つまり、ユーザーが利用するスマートフォンの周波数帯については、サポート対象外であることが一般的なため、たとえ実際の海外現地で、「eSIM の回線が圏外」「データが繋がらない」といったトラブルに直面しても、eSIM プラットフォーム事業者からの手厚いサポートは期待できません。
※ 特に、日本の通信キャリアモデルのスマートフォン(特に Android)と周波数帯は複雑なため、実際の海外現地で「eSIM の回線が圏外」「データが繋がらない」といったトラブルが、他の国々のユーザーよりも多くあるように思えます。
したがって、日本のスマートフォンで、海外旅行 eSIM を快適に使用する場合には、事前に下記の二点を確認しておく必要があります。
中国でSIMカードを購入するなら、通信規格の互換性・使いやすさ・安心感を考慮して、チャイナユニコムを選択するのが無難で安全な選択といえるでしょう。
中国での生活や仕事をスムーズに始めたい方は、まず、チャイナユニコムのSIMを検討してみてはいかがでしょうか。
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